コンセプト

「文芸と服飾」

ステートメント

詩や小説をたくさん書いていたことがある。

その中で、言葉というものの不思議さに気が付いた。すべての言葉は、分解していけばすでに誰かが語ったものだ。借りもののそれを積み重ねて、まだ形のないものを語ろうとする。不格好なつぎはぎのものでも、今の私たちのための物語を一つ新しく作りたいと。


それはアクセサリーを作ることに似ている。

すでに形になった数多の素材から、言葉を選ぶようにその意図を考え、組み合わせていくことで、身に着ける詩、願望を実現するための呪具、今日を一日乗り越えるためのおまじないに似たものを作ること。


詩とアクセサリーの類似に気づいたとき、そしてそれを人に喜んで手に取ってもらったときに、これを続けていこうと思った。私と、誰かの心を守るための方法として、このやり方があると知ったからだ。

文芸と服飾シリーズについて

著作権保護期間が満了した文芸作品を直接的にテーマとし、アクセサリーに落とし込んだもの。

先人の物語や詩に向き合うことで、新たな造形や配色などインスピレーションを得ている。

アクセサリーによる「挿絵」
大本の文芸作品を現実に落とし込んだものでもあるし、身に着けた人間の日常を彩るものでもある。

さみしいなにかをかくシリーズについて

「時」「場所」「項目」がランダムに提示される診断メーカーを使用し、その題に合わせた短文とアクセサリーを制作する試み。

さみしさ、とは何かを考えたとき、「相互の不理解」を最も大きな要素として、会ったことのない、知らないただ一人の人を飾るためのアクセサリーとして制作。

オーダーについて

客様から物語や単語を聞かせてもらい、それをアクセサリーに落とし込む行為。

本の中、自分の中だけではなく、他者の個人的な、それぞれが持つ物語に向き合いながら、ただその人のためだけに作るという、原始的な創作。